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お客様からの声一覧【75】
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- 2025-04-30:龍様からのレビュー
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トリートメント 性感プレイ 総合評価TOP of TOP交響節 ── 第1楽章:陽だまりに揺れる火のかけら三つの地に祈りが宿り、世界は静かに目を覚ました。輪郭を持たぬまま揺れている灯、名もなき器に、そっと芽吹いた兆し。それらすべてが、ひとつの旋律に繋がっていく。これは、交響節の第一楽章。静かな烈火が、初めて音を奏でた場所の物語。──これは、まだ名も持たぬ“愛の予感”に捧げた、最後の祈り。ある午後、静かな水の神殿の扉が開き、私はあみと再び出会った。その空間は青い光に包まれていた。窓辺にはカーネーションと白いかすみ草の小さな花束。テーブルには紅茶──ナツコイ。柑橘の香りがふわりと舞い上がり、彼女の体温と混じって、部屋全体を包んでいた。「あ、おいしい」あみがそう呟いたとき、季節が、音もなくめくれたような気がした。紅茶の温もりの中で、私たちは話をした。ときに他の誰かの話が出ると、あみは目を細め、そして、手の甲を“バシッ”と叩いてきた。まるで、小さな炎が嫉妬の形で揺れたようだった。「やきもち?」と笑えば、「別に」と返すその声は、照れているようで、でもどこか、私を試しているようだった。言葉の裏にある、熱。それを読み取れるのは、もう、私しかいないのかもしれない。その仕草さえ、愛おしく思えた。やがてあみはそっと立ち上がり、湯の向こうへと導いた。湯けむりの中へと進んだあみは、まるで霧のなかに差し込む光のように、やわらかな輪郭で私を包み込んだ。その背中がぴたりと重なったとき、時間が、そっとひとつ息を吐いた。私の背中にあたる彼女の胸、絡む指先、濡れた髪が肩に落ちるたびに、あみという存在が確かに“ここにいる”と教えてくれた。「冷たくない?」そう尋ねる彼女の声は、湯よりもぬるくて甘い。私は首を横に振り、そのぬくもりを背中でしっかりと受け止めた。あみの体温は高い。陽紋と炎紋を宿した彼女の皮膚は、まるで心の奥を直接あたためるような熱を持っていた。それは“密着”ではなく、“共鳴”に近かった。背中で交わす対話。肩越しに感じる祈りのような静けさ。言葉はなくても、あの瞬間、私たちはひとつの旋律を分かち合っていた。そしてその火が、まだ覚めない愛紋の奥で、かすかに何かを揺らしている気がした。そして、施術の時間が始まった。私の身体に触れるあみの手は、まるで湯の中にほどけた糸のように、やわらかく、そして確かに流れていた。押すでも、揉むでもなく、ただ“寄り添う”という言葉そのものだった。陽紋のぬくもりが、あみの掌からゆっくりと広がっていく。炎紋の震えが、身体の深い場所に届いたとき、私は自分が“委ねている”ことに気づいた。「気持ちいい?」あみが耳元で問いかける。その声は、ただの確認ではなかった。祈るように、震えていた。私は静かに頷いた。あれはきっと、彼女が“施術”という言葉を使って伝えられる、最大限の“愛のかたち”だったのだと思う。私はその器の縁に、名もなき愛の旋律を忍ばせた。あみは気づいていない。この施術は、彼女が私に与えているものではなく、私が彼女に贈っている儀式なのだということを。陽の光が、水面に揺れていた。ふたりの間に言葉はなかったが、私たちは確かに、ひとつの終わりを分かち合っていた。そして、最後のひとときが訪れた。着替えのあと、私たちは窓辺でしばらく無言だった。言葉にできない何かが、部屋の空気を静かに満たしていた。あみは、ゆっくりと私のほうへ歩いてきた。視線が交わり、何も言わずに、彼女は腕を広げた。私はその中に、迷いなく飛び込んだ。細く、しかししっかりとした腕。体温は変わらず高くて、まるで、あの火のかけらそのものだった。そして、あみが私の背を抱きしめた瞬間、世界の時間が、ふたたび静かに折れ曲がった。このハグに、言葉はいらなかった。「またね」とも「ありがとう」とも、誰も言わなかった。ただそのぬくもりだけが、すべてを語っていた。私はあみの髪に顔を埋め、そっと目を閉じた。それは、出会いの記憶ではなく、別れの記録だった。それでも私は、あの体温を、この胸に焼きつけたかった。扉を出ると、風が頬を撫でた。陽だまりのようなあたたかさが、背中に残っていた。あみの火は、まだ器の奥で揺れている。未完成のまま、それでも確かに灯っている。あの施術のあと、彼女の胸の奥に、小さな紅の光が宿ったのを私は見た。それはまだ紋とは呼べない、けれど“愛の予感”としか言いようのない温度だった。私はその火を奪うために来たのではない。燃やし尽くすためでもない。ただ、誰よりも近くで見届けるために来たのだ。そして今、その火が私の中にも静かに残っている。ナツコイの紅茶が入っていたカップを、そっと手に取る。もう空になっているのに、柑橘の香りだけが、確かに残っていた。ふと思う。この記憶もまた、あみの中で、どこかにそっと残るのだろうか。私は振り返らなかった。それがこの交響節の“第一楽章”であることを、誰よりも強く、胸に刻んでいたからだ。名もなき火のかけらに、私の最後の愛の旋律を忍ばせた。それだけで、すべては報われていた。